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論文のレトリック  著:澤田昭夫

論文のレトリック  わかりやすいまとめ方 澤田昭夫   講談社学術文庫

第一刷は1983年
論文においては、命題は何か、問はなにかがはっきり示されているか、
そして結論においてその問に答えているかが必要とされる。

第一章冒頭にある、著者がどこかの教授に問われた以下の文章が
自身に思い当たる指摘であったため購入、読了。
P.17

「私は日本の同僚学者の書く英語論文に目を通す機会が
しばしばあるが、その大部分は多数の事実を列挙していながら
結局何をいおうとしているのか解らない、どういう問題があって
それをどう解決したのか解らない。なぜか」

学術論文を書くのはこれからなのでそれはひとまずおいておくとして、
常日頃の自身の会話や文章において「事実を列挙しながら~」が
もろにあてはまっている言葉だった。

内容は広く論文の体をなすものそれぞれをとりあげ、それぞれについて
基本の形は変わらないことを示し、その上でそれぞれについて解説と
チェックポイントなどをしめす。
これが、なぜ日本の学者は解る論文が書けないかという問の下でつながり、
同タイトルの最終章でその理由とそれゆえの提言にまとまる。

20年も前の本であるから現在と社会環境に違いはあるだろうが
(おそらく現在の小論文の書きかたの参考書などは当時と違いがあると思う)、
本質的な内容は時代によってぶれる種類でないゆえ、
古い本だなという意識が浮かぶことはなかった。

この本を読んだのは論文の書きかたもそうだが、それとともに自身の文章の
まずさを自覚することが多々ある故にだった。
あくまで論文的な書きかたについてなのでその他文章にそのまま
はまるものではないが、まあ論文書くときに参考にしよう。

すべてにおいて論文的な文章を組み立てる必要などないが、
論文においてどう書くべきか知っておくに越したことはないだろう。
特に主張したいことがあって文章を書くときには、論文における
ポイントを知っておくのは有意義だろうし。
まあ、急に変わることはないだろうが。

学校生活において、小論文を書けなどといったこともありはしたが、
実際にどのように書くべきかといったことに関しては
熱心な(というかまともな)教育がなかったと思う。
なのでこの本はなおさらに価値あるものと見えた、というのもあるかな。

まあしかし問題は、同著者の「論文の書きかた」という姉妹編
(これの姉にあたる)も読んだほうがいいんじゃないかなーと思えることだ。


抜粋および再読用にメモをした場所はかなりあるが、
特に気になったところとして以下

P.297 注釈部

「皆が議論なしで納得するものはよい。論議を呼ぶものは好ましくない」とみる
風潮が日本にあることはたしかで、そのような風潮を促進しているのは、
論議促進の公器であるべきジャーナリズム自体である。
間接的な不承認を表明するためのマスコミのきまり文句は
「A首相はこういう決定を下したが、これは各方面で論議を
呼び起こすものと予想される」である。
そして欧米のマスコミと比べて顕著な日本のマスコミの特徴は、
対立する立場の論者による紙(または誌)上論争の欠如である。

P.299
自分が所有したいが所有できぬもの、それを軽蔑するというのは解る心理です。

前者については今でもよくよく当てはまる観察だと思う。
自身がマスコミの言動を観察するときの視点の一つとして覚えておきたい。
後者は人一般に当てはまる観察であり、自身への訓戒としてメモ。

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