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円環少女 5 魔導師たちの迷宮

 円環少女 (5) 魔導師たちの迷宮
 著:長谷敏司 絵:深遊  角川スニーカー

 十三歳年下の妻に頭のあがらない親父が妻と娘は怒った顔が良く似ているとか思ってる場面に仁の将来としてありうる姿の一つだと和んでいる場合ではなかった。魔法使いは変態ばっかだなと再認識している場合じゃなかった。

「あら、こんなふうに写真を撮られるの、はじめてなんだ?びくって、体が止まったわ。嘘じゃないわ。ほら、もう一枚とるから。……そんな顔して、撮られるのスキなのね?学校では隠してた、そのおすまし顔の裏で渦巻いているもの、さらけだしちゃいないさい」

 メイゼルがのぞくカメラのファインダーの中で、ブラウスの下の胸元まで桜色に染めた寒川紀子が、逃げるように体をよじった。逆光に肌を輝かせた彼女の、産毛が金色の羽毛のようだった。

 さすがは長谷、ロリの描写への熱の入れようがとんでもないと喜んでいる場合じゃなかった。
 えぐい。帯の言葉からしてえぐいことこのうえない。確かに娯楽小説だけれど、楽しめておもしろいけれど突き進まざるをえない先がえぐい!

 しかし、漢の決断だ。一巻では魔法使いたちが試された。この巻では仁が試された末に決断して踏み出した。メイゼルのためにすべてを超えて踏み出して、だが堕ちていく姿しか見えない。それでも鬼火の言うとおりに、覚悟を決めたのだ。公館はゆるがない。京香もゆらがない。協会の悪鬼を見る目はうんこを見る目でゆるがない。正しいといえない行動でも行動せざるをえない理由が背後に転がっている。都合のいい解決などなくて、なにかを切り捨てる選択肢しかない。理由と平和な背後を突きつけられて、それでも切り捨てる判断をせざるを得ない世界は確かに地獄だ。地獄と認めたくないのに地獄にふさわしい場に常にたってしまう、地獄であることを象徴してしまう仁に絶望を乗り越えた将来などありえるのか。妹のかけらはなにをあらわしているのか。誰が何となんのために戦うのか?蒔かれまくった種のなるところはどこか、次はいつだ。


 魔法使い同士の戦いの過激さと仁の追い込まれ具合はその戦いが物語のクライマックスですぐ後にエンディングが続くかのようだ。読むのに体力と時間がものすごくかかる。
 しかし今回は、文章をしっかりしようと努力したんだなとなんかわかる文章だな。個人的には、一巻の文章だろうと文句はないが。

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受信: 2007年6月 1日 (金) 19:08

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