« newsing | トップページ | 東方SS読んだ 「コードアリス 返却のパチュリー  祭」ほか »

空気と戦争

 空気と戦争  著:猪瀬直樹  文春新書

 なるほど、東工大生に対する講義が元なだけはある。技術者の立場に問われるものを強く思う。また、戦前と戦後で日本が違う国になどなってはなく続いているということ、縦割り行政の弊、空気という意思決定存在、東條英機の教科書や左翼の宣伝からとは違う姿、かな。山本七兵「「空気」の研究」の重さを感じた。また、著者の数字にこだわるという姿勢による道路公団改革での実例から見える日本の戦前から変わらない姿が興味深い。

 「日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦」というこの人が書いた本とおそらく中心部分で大きく被ってるんじゃないかな。実際の敗戦は昭和20年、しかし開戦の16年の夏にはすでに敗戦すると考えていた人間がいた。それだけなら格段不思議なことはないが、それが政府による研究機関によっての予測であり、東條英機もまたそれを予測していたふしがあるということ。また東條は天皇の意思とその結果とゆえに首相として戦争回避を目指していたが、皮肉にもそれ以前の自身の言動が作り出した戦争へ向かう空気(軍と民衆と)に押し流されることになった。

 これで思ったのは、失礼な言い方を承知でいうが、(国の)トップにつくような人間は馬鹿ではないということだ。だから前提が違うのだ。馬鹿な行動だと外から思ったとしても、その当事者がそのまま馬鹿な人間であるということは稀なのだ。優秀な人間であってもまるで愚かと思える行動に向かわざるをえない。その行動は1個人だけが主張しても行動に結びつくことはなく、組織や社会の空気が存在している。だから、個人だけに注目していては出来事の原因を正しく捉えることができない。

 また、組織の一員は目先の仕事を達成することのみに専念し、その結果がどのように他の出来事に結びつくのかの想像力がなくなることがある。自身の責務(または組織の狭い範囲での責務)のみに目を向け、より大きな範囲への波及について思考を放棄する傾向がある。組織に入った段階で馬鹿になる危険がある。


引用(の引用?)
P.69 「」の言葉は東條英機(当時陸相) 石油を得るため南に侵略する必要というプレゼンに対して

「泥棒せい、というわけだな」

中略
「この馬鹿者ッ。長い間おまえたちが提灯をもってきたからこそ、なけなしの資材を人造石油に注ぎ込んできたんじゃないか。それを今このせっぱ詰まった時になって、役に立つとは思えません、とぬけぬけと言いおる。自分たちのやるべきことをおろそかにしておいて、困ったからと人に泥棒を勧めにくる。いったい、日本の技術者は何をしておるのだ!」

中略
「泥棒はいけませんよッ!」

|

« newsing | トップページ | 東方SS読んだ 「コードアリス 返却のパチュリー  祭」ほか »

本(小説以外)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 空気と戦争:

« newsing | トップページ | 東方SS読んだ 「コードアリス 返却のパチュリー  祭」ほか »