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スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝

 スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝  著:冲方丁 絵:はいむらきよたか  富士見ファンタジア

 ああ、こいつはうぶかただ。強烈でぞわぞわとクルやつだ。

 近未来という設定をいかした現在の現実からのえぐい発展とスパイとまったく万全でない状況で最善へ突貫する熱い思いと行動と。どこか突飛な設定や人物や展開のどれかに頼っているわけではなく、しかし組み合わせた調理がやたらにうまい。もう、むちゃくちゃに熱い。いや、助けが入るんでしょ、復活するんでしょと、その助けが入る瞬間をどこか冷めた頭で待ちながら(でも同時に助けが入ってくれることを期待しながら)読み進めても、いつまでも助勢はない。いまそのときに持ちうる力で、スマートになんてできなくて、それでも“やるべきこと”をやりとげる。どこまでも劣性の展開のなかで勝ち取る。そんな状況だから壊してしまった関係と、そんな状況だからこそより強く結びあった関係とが物語をさらにぞくぞくとさせる。

 大切なものを盗んでいきました。あなたの心です。が真面目に存在してて、なんだそれはマジなのかと笑ってしまいたくなるようなことなのに、全然笑えない。築かれていた新たな関係と心とに胸を突かれる。

 いや、まったくすごいな。しかもこの24形式を短編連載でやったとか、正気じゃない。おまけ小劇場のついに狂ったか的な狂気がまさに。

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