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クドリャフカの順番

 クドリャフカの順番
 著:米澤穂信  角川文庫

 傑作だ。
 多視点によって文化祭のイベントらしさ、今まで行動と言葉で判別されていた各キャラクターの感覚の違い、全員が徐々に十文字に関わっていく様子などをページが進むごとに体感できるのがおもしろい。特に福部視点は存分に文化祭の楽しさを味わえる。しかし、なによりも苦いのがよい。

「さあ、期待してるよ、ホータロー」

 期待という言葉を真っ正直に解説されて、それでこの言葉に青春を感じずにいることは不可能だ。意外な一面を発見したとき、自分にはできないことを友人がやりこなせたとき、それに何をおもうか。当然のように、何も感じずに受け入れることができたのはいつからか。疼きを抱いて、向き合って、なおも期待してると言葉に出せるこやつに青春を感じずにどうしろというのだ。イベントを十分に楽しむ姿がまたなんともいえない疼きを深める。

 古典部の主人公以外の3人、そして本筋の物語、どれもが同じだ。期待と青春を思い知らせる。愚者のエンドロールでの入須の言葉がよみがえる(直前に読んだからではあるが)。こいつは本当におもしろかった。文化祭の楽しさと期待という言葉を存分に味わった。

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