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十二国記 落照の獄

 『落照の獄』  yom yom vol.12 新潮社

 「帰山」だったかな、柳が傾いているという短編。その傾いている国の内部が舞台。死刑禁止の国において凶悪犯にどう対処するか。死刑を復活させるか否か。是非ではなく、国の変化が印象に残る。

 どうやら劉王がどこか変わってしまったのは確からしく、しかしなぜ変わってしまったのかは示されない。そんな王の下で国が変わっていこうと、傾いていこうとしている最中での、凶悪犯罪。この国ではどうやら死刑は禁止されているらしく(劉王の命で)、それなのに罪人を死刑にするか否かの議論が進行してしまう。

 死刑という選択を回避しようとしながらも、最終的に罪人の救いのない徹底的な「悪人」ぶりに死刑を選択してしまう。その選択が「変化」を印象付ける。明確に、国がこれから傾いていく、ということが、罪人への死刑宣告が、国に対する宣告に見える。

 延々と続く議論はしかし、王が一言声をかけ態度を鮮明にすればそれですべて終わる話に見える。または王を(盲目に)信頼し続けていたならば、迷わなくともよい。それができないのは王への信頼が官吏たちのなかでも既に薄くなってきていたからか、国の傾きの反映か。

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