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感想:フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

 フリー ~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
 クリス・アンダーソン (著), 小林弘人(監修・解説) (監修), 高橋則明 (翻訳)

 クリス・アンダーソン氏著書『フリー』全文を発売前に無料公開 (CNET Japan)
で見つけたので読んでみた。この文章を打つたびに横で微振動を起こしている積み本タワーがあるというのに。しかし、これがつまりは無料の効力、とも言えるかもしれない。また、フリーに対し、自由、無料という二つの意味で捉えようとするあたりにこの本の意図がかなりあると言ってもよいかもしれない。

 無料でありながらどこで儲けるかという点では、無料の製品といっても、結局どこかでは金を取る。それがどこか、という点。無料にした(海賊版含む)効果で潜在顧客のパイを増やして、それでどこかで金を取る。どこ、というのが、まあ、ものによる。このあたりは、特に斬新ってわけではない。最近のweb関係で無料ビジネスが流行って見えるけれど、実はずいぶん昔からその手法はずっと使われてきた(ひげそりの替刃とかゼリーの売り出しの初期とか)という歴史は、いまが特異ではないという説得になっておもしろい。web上での無料に対しては、広告だけではなく、フリーミアムとか言われている、一部の有料版で儲けるスタイルが必要というのに大体の結論が向かっているのかな?ニコニコ動画のプレミアムのような。

 基本として、無料であることの心理的効果とかそんなんで人を集めて、特にwebは一気に人を集めることができるから、一部の人の支払いでまかなえる、とかそんなんか。無料によって評判と注目という別の価値を高めることができ、それが最終的に現金になって(無料にしない場合より大きくなって)返ってくる。だから、短期的ではなく、トータルでみればフリーな商売も十分成り立つのだ、歴史も実は長いのだと解説する。利益を得る場と、利益に結びつく何かを集める場を別に分離しているのだ、ともまとめることができるのかな。でもって、この無料化の流れも必然だ、とも。

 ただ、率直にいって、どうもうさんくささを禁じえない。一部の例は、最初から大きなパイだとか、今の無料にするということが注目を集める時代というのに依拠していないかとか疑念がある。他にも例えば後半のフリーに対するよくある質問への皮肉交えた回答のなかで、紙媒体のコストに関して議論しているときに、もっとも重要な、その記事の中身の作成にかかるコストを計算に入れない、とするのはどうしてだろう。その点が最も重要であって、無視できない点だろう。webでの公開において記事の制作に関わる人件費以外はほとんどタダに等しくなる、だから無料が成り立つ、という言葉では同意できない。それにMSの話は独占による、それを使わなくてはならないという強制もある、とか言っている。なのにそれとピザ屋の話を同列に並べて同じだと説得するのは、どうも詐欺っぽく思える。

 なーんか、うまくはぐらかされている気が、どうしてもぬぐえない。だいたいの部分で同意できてうなずいて感心するけれど、細かな部分で正直ではないという印象を受けてしまう。特に最後あたりのQ&A。評価の軸をすりかえて答えているように感じてしまう。金銭的にどうこうという質問に、評価と注目という新たな価値を得ているのだというのは、それはちょっとすりかえでないか。結局、現金としての儲けまでに間接的な経路が一つ入る、というだけとも言いたいのだろうが。なんかな。結びで、不況に突入でweb企業にとって、最後どこかの大きな企業に買収されるという将来が厳しくなった結果、評判と注目が現金に換わるメカニズムがなくなったとか言ってしまっている。なのに、結び以前の文章で評価と注目という価値に重きを置いているあたりも、なんかな。いや、一つの基準ですべての業界や商売見れる単純なものではないとわかるけれどさ。

 
 などと疑問と不満を言いつつも、現状を再認識するという点でかなりわかりやすいと思った。人(消費者)は稀少さしか理解できない。持っていないものによって突き動かされている。など、人の心理や経済などと無料化を絡めているのも、無料につられる心情というあたりに特に、説得を感じる。


 ところで、今はある意味、情報としてのモノがあふれている社会といえる。だから、物理的なものがあふれ出した時代に、その時代の微分を試みて考察した本の言葉は、今の時代の物理的でないものがあふれる時代にも、同じか、または物理的なものへの考察の正しさ分が加味された、説得力を持つんじゃないか。
 なんかそのあたりの哲学書探してみるのもおもしろいかな?

 あと、東方なんかもこのフリーってやつの例だな。目に触れる機会がとても多いがゆえに、その周辺で利益を得る機会が多い状況になっている。それで考えると、イベントの価値は単に金銭的だけでなく存在してもよいわけだから、あれだけイベントの数が多い理由にもつながりえる?

 そういえば、ニコニコ動画でひろゆきは、モノやサービスを受け取る当人ではなくて、モノやサービスを生み出し提供する当人から金を取ろうって発想をどこかで言っていたような気がする。この視点、おもしろいよね。たぶん、生放送がそうなっていると思うけれど、5%の枠を超えるかもしれない。

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