« 読んだり読まなかったり | トップページ | 東方キャノンボールやってたので関連して色々と考えごと »

感想:無添加はかえって危ない

無添加はかえって危ない
著:有路昌彦  日経BPコンサルティング発行、日経BPマーケティング発売

 単純化すれば、無添加は安全という主張に科学的根拠はない。無添加食品への嗜好はマッチポンプによるものだというもの。実際として皆が皆イメージでだけ語っていて、科学的に正しいかどうかの知識を持ち得ていない。
 特に、たとえば保存料の使用による保存期間の長期化によって食中毒リスクと食品廃棄を減らせるという利益を正しく理解していない。単に人工の化学薬品だからという忌避である。科学的正しさをまずはちゃんと見ましょうという書。

 また、現在の無添加食品ブームはマッチポンプの結果であり、消費者は損をしているのだという主張が根底にある。恐れなくて良いものを恐れ、3割ものプレミアムを無添加食品に支払っているのだという主張。無添加が安全であると主張している人間がいたらマッチポンプを疑えということ。

 教訓的には、使って安全であると伝えるだけでは不十分で、安全でありメリット(ベネフィット)があるのだと同時に伝えなければバイアスはなかなか解消されないと示されている。ただ安全であるとだけ伝えられた場合、それによって100万分の1でも何か危険性が上がるのであればそれは避けたほうがよいと考える。安全であり利益もあると伝えられると人は初めて考えるようになる。

 これは人間の動物的本能でもあり、安全という情報は聞き流すが危険という情報には反応する。そのため、大丈夫であるということは第一だが、使用を認めてもらうには利益も同時に提供する必要がある。

 この本は食品添加物への誤解への言及と同時に、どのような言動に人は騙されるのか、どれだけ人はリスクの理解ができないか、どうしてそういう社会なのかへも言及した、人間理解の本でもある。出版の時期もあろうが、放射性物質狂乱騒ぎへの暗喩(いっそ直喩の域か)とも読み取れる。おおよそ同じ理屈が人に、メディアに働いているのだろうと思える。

|

« 読んだり読まなかったり | トップページ | 東方キャノンボールやってたので関連して色々と考えごと »

本(小説以外)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 感想:無添加はかえって危ない:

« 読んだり読まなかったり | トップページ | 東方キャノンボールやってたので関連して色々と考えごと »