カテゴリー「角川sneaker」の11件の投稿

オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

 オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder  著:冲方丁 絵:白亜右月  角川スニーカー

 あとがきでここからがシリーズ本番というにふさわしく、相互にからんだ根幹の設定が出始めた。そして各短編(中篇?)も特に3話は設定が垣間見られることもあって物語がきっついね。後ろにいくにしたがってなにかもうずんずんと重くなる。なのにその重さにひきつけられてページをめくる手が止まらない。

 人格改変プログラムとそれに伴う記憶の焼失、特甲レベル3がキーか。涼月がメインの第1話は導入的で比較的おとなしいのだけれど、それをきっかけに動いていく2話以降の設定へ触れていく流れは登場人物と同様にどうなっているんだ?と気になって知りたくなって。

 しかしまあ相変わらず血がとんでるのだが多少和らいだのか感覚がまひしたのか、この話には血なまぐさいのがむしろぴったりくると思うようになってしまった。

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円環少女 (6) 太陽がくだけるとき

 円環少女 (6) 太陽がくだけるとき   著:長谷敏司 絵:深遊  角川スニーカー

 スニーカーなのに400Pとは狂気か。

 しかし濃い。文章がずいぶん落ち付いてきたのもあるのか、始まりはすでに戦いの連続なのに加速感と灼熱感がそれほどなく強烈に物語にとらえられることもなく。けれど、ゆっくりと加速し熱せられて、次第にもう止まらなくなった。学生運動からテロリストへいたった国城田の、歪んでしまってなお熱い悪と正義への想いが熱い。仁のなりたい大人への決意が、公館から離れて踏み出す歩みが熱い。そしてバトルがあっつい。

 仁はほんとぼろぼろになってばっかで、体も精神もぐっさぐさに傷ついて、それでも折れなかった。矛盾と欺瞞と、信じていたもの、なれると思っていたものをひっくり返されて、コマとして翻弄され続けた。正しいと思うことに痛い目にあわされる。それでも、ありたい大人に行き着いた姿は熱くて、泥臭さと血なまぐささだけに彩られていると言っていいのに、なにか清々しい。

 おっさんどもの、国城田と清水、寒川父の30年を経た今の姿と現実への認識をよくぞ書いたものだ。かつての熱を抱いた怒りと今への認識と。よくもこんなものを題材に、中心にすえて書いたものだ。けれど対象はことなれど国城田と同じ言葉を抱くにいたった仁の将来が暗示されるようで悲壮に感じてしまう。

 物語は平和な解決なんかなくて安易な期待なんて許さずに血が流れて完全な決別になったうえに協会内の対立まで関与してきて政治劇とともにまた何かが回り始めてどこへ向かうのやらだけれど、えぐられても前へ進もうとする仁にぞくぞくする。熱さがやめられない。


 読み終わった疲労と熱さが、確かにあるはずの外に向けて吐き出したい言葉を明確にさせない。書きたい感想と対象とがあるはずなのにうまくはきだせない。まいった。

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時載りリンネ! (1)

 時載りリンネ! (1) はじまりの本  著:清野静 絵:古夏からす  角川スニーカー

 本を読んで腹が膨れたらなぁと思ったことはありますが、しかし本を読むことでしか腹が膨れないとなるとなかなか厳しい。そんな本を読むことでしか腹が満たされず、200万字読むと1秒時間をとめることができるという時載りと一般人による、主人公とヒロインともに小学6年生なお話。

 でもこの主人公の語りは12歳ではありえねぇ。これが実は時載りの時間認識の違いによる影響であって、プロローグのはミスリードでリンネがほぼそのままでも主人公の年齢はもっと上になってる何年か後、とかそういう時間の流れの違いを使ったものかと思ったらそういうわけでもないようで。

 まあ確かに、これで主人公が同じ年齢でなかったならより強くろり小説ではあった。もっとも、なんというか、全体にどこか枯れたものがあって、ヒロインがねこみみねこしっぽ装着したりゴスロリってたりな姿を念入りに描写したり脚の形がどうとか胸の成長がとか魔法少女変身とかがあるのだけれど、なにか乾いてる。たとえば長谷のような、一瞬でその場面の雰囲気を変質させるような念入りで執着と真性が入ったロリ描写とは感じなかった。設定上主人公の年齢をいじっても、明確にろり小説なのになぜかロリコン大喜びとはならない、といった話に収まっていたんじゃないかと思う。

 とまれ、その乾きがなかなか好み。著者本人の読書量が実際けっこうなものなんだろうと思うくらいに文章はきれいに読みやすくまとまっている。小説の見せ方としての文章という面からどうかは別にして。また、時載りと時砕きを扱うことによる、彼らの特性としての時間軸のなさも展開にうまく溶け込んでいて、そういう流れる時間に対するスタンスといったものが好きな身としては設定のなかのキャラの立ち位置を眺めるだけでも楽しい。本の存在がそこにあって、本の名前が出てきた上に、たまにではあるけれど、本の内容に関連した知識・薀蓄がでてくるのもおもしろい。

 ただ話が、おおよそ好みではあるのだが問題解決というか最終のところが、いわば悪人をやっつけるスタイルになってしまうところが多少残念ではある。また妹がどうしてそこにいるのか(なぜ今その世界に存在するのかという意味で)、時載りにできることできないこと、主に時載り同士の争いでなにが決定打となるのかといったあたりはよくわからないところがあった。


 真性でないっぽいという雰囲気を感じるとはいえ、ルウと妹の存在もありだ。ルウはリンネと一緒にゴスロリってたりコスプレしてたりツンデレ百合な気を感じる(妄想するともいう)のが素敵。リンネと並んでねこすたいるなあたりはすばらしかった。そのシーンのはじめ、このねこみみねこしっぽは時載りに関してなんちゃらの効果を持っていてとか言いだしてリンネにねこみみ装着して、さらに尻尾つけるのはショーツに直接のほうがと言い出してリンネとともに着替えに突入のあたりは、こいつ騙しじゃなくて本気で言ってたのかと驚嘆した。妹はその存在に対する疑問が先に来るのだが、無言であることを要請されるゆえの無言での主人公に対する行動はなかなかに感じるところがある。

 そんな描写が在るということは、描写から真性をいまいち感じないといいはしたが、実は真性かもしれない。長谷を基準に考えているから真性でないと捉えているだけで、実は作者は真性なのかもしれない。少なくともゴスロリ方面になんらのフェチさがあるような気はする。Gの姿も関わりがあるような気がする。Gが脚立の上に立ち書架の整理をしている場面に主人公が出くわし、Gを見上げたらスカートの裾から黒いストッキングに包まれた脚が見えて主人公がちょっと赤面したというあたりだ。ぱんつが見えたのではなく、黒ストッキングに包まれた脚が見えて赤面というのがポイントだと思う。ロリーでゴシックにきめてるリンネとルウのぱんつが見えた時は服の色は正反対なのに下着の色は同じなんだなと冷静に考え込む主人公なのに(少なくとも、そうとだけ描写される主人公が)、黒ストッキングに包まれた脚がスカートの裾からちらりと見えて赤面である。そう描写されるのである。このあたり、何かフェチっぽさや真性っぽさがあるような気がする。作者のなにかがあらわれてるような気がする。というか、こんなことに注目してる自分のほうがよっぽどいろいろ真性なんじゃないかという危惧に襲われたのでこのあたりで言及はやめる。でも赤面した主人公にはよくわかってるじゃないかと頷く。

 2時間ほどかけてこんな感想(特に後半)書いてる自分の時間の使い方を考えることにする。まずは本を読んでも腹がふくれないことを少々残念に思いながら飯を食おう。

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DOORS I まぜこぜ修繕屋

 DOORS I まぜこぜ修繕屋   著:神坂一 絵:岸和田ロビン  角川スニーカー

 常識に挑戦。いや、これは作者がすごいなぁ。よくもまあこれだけ変な世界を思いつくものだ。

 すれすぺの変なキャラがむしろ普通になってる幾つもの世界を歩きまわってちょこっとずつ直していく、という感じか。変なキャラでなく変な世界設定が毎回現れるというか。いや、よくもまあこんなのを連載でやれるものだ。

 しかしあれですね、妹が触手になるというあたりが狂気に残った良心かもしれない。これで弟が触手だったら二次ドリな世界なことに。姉を励まそうとそうっと後ろから抱きつく妹(触手)というシーンは触手じゃなければ大変においしいのだけれど。触手じゃなければ。あと妹がすべて5歳児になるというのは、全否定はしないが否定したいところだ。

 舞台設定を強引に読者にすりこんで、お約束ネタを常識が非常識になった世界で繰り広げる。常識の飛びぐあいがけっこう笑えます。

 あとあと、さすがにベテランというか、一冊の最後に笑いだけじゃなく郷愁的な湿っぽさも出してきたあたりがうまいです。まわりすべての非常識に半分非常識の一員になりつつ力いっぱいつっこみ入れてる主人公の、以前の常識を知っているのが自分だけというセンチな気分をちょっと表にだす。それによって、ふっとんでるwwというのからちょっと話の印象が変わる。軽くて笑えながらちょっと落ち着く。

 なかなか。おもしろかった。

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オイレンシュピーゲル 弐

 オイレンシュピーゲル 弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!
 著:冲方丁 絵:白亜右月  角川スニーカー

 くそったれだ。ロシア風バーベキュー味って人肉の焼ける臭いかよこんちくしょうっ、と途中で思ってそれからいかしてるぜこのロシア人どもと思ってそれから結局最初に思ったとおりかよバーベキューの題材がロシア風なのかくそったれっ!

 一巻に比べて若干血なまぐささが緩くなったかなーと感じつつ、やはり王道展開がうまい。ばらばらに行動するのを強いられてたのが最後集結してチームを意識とか、いい奴らっぽい描写、容赦ない冷徹な悪人っぽさ、いい奴らっぽいと交互に描写してひきつけたところで炸裂とか。

 もうすっげー皮肉に痛烈にありうる未来、見えてない現在をつきつけやがるなという読み始めの感想が吹き飛ばされた。しかし本文読み始める前に読んだ、カバー折り返しのロシア風バーベキュー味というのはものすげーくっきりと頭に甦った。ああくそ、そりゃ確かにヴェロシティが思い出されるぜ。

 やっかいなのはおもしろいということだ。この血塗れで、惨劇で、将来に主人公達死ぬというか殺す気なんじゃないかと思えても、その中で走り続ける人間と物語の転がっていく先にどうしようもなくひきつけられるということだ。

 ああでも最後の言葉がやだなぁ。スプライトとオイレンでぶつかりかねない言葉じゃないか。

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イチゴ色禁区 3

 イチゴ色禁区 (3) 春の禁区のその果てに
 著:神崎リン 絵:文倉十  角川スニーカー

 打ち切りな気がする。サブタイトルの季節一周しなかったし。とはいえそれなりに話をたたむことはできてると思う。中途半端というか、このロリコン主人公とロリコンな小説になにが求められているか、という点ではハズレ気味だけれど。打ち切り臭漂う最後の展開とそれに至るご都合主義な展開は、しかし話としてひどすぎはしない。糞とまではいかない。打ち切りだろうなーという気分で読んでたのもあるし。雑誌で出したらしい短編キャラを何の説明もなく主要キャラとして扱っているのは正直糞といいたいが。

 だがたいしたことではない。問題はこまに浮気した主人公と、ロリとの関係をうやむやにした中途半端な主人公にふさわしい中途半端なエンドだ。なんだこの主人公。ロリコンのくせに見苦しい。エンドも結局煮え切らないしおもしろくない。これなんてエロゲってのは主人公の下ネタやセクハラにではない。ロリキャラに向けての言葉だ。こんなエンドでは誉める意味でのこれなんてエロゲという発言はできんな。前半はいいのに、後半が酷すぎる。エロゲといわれるのが誉め言葉とあとがきに書くような人間が、物語を収束させるためとはいえこの後半の展開に本当に満足しているのか?

 ……後半の展開は糞って言ってるのと同じだと気づいた。

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円環少女 5 魔導師たちの迷宮

 円環少女 (5) 魔導師たちの迷宮
 著:長谷敏司 絵:深遊  角川スニーカー

 十三歳年下の妻に頭のあがらない親父が妻と娘は怒った顔が良く似ているとか思ってる場面に仁の将来としてありうる姿の一つだと和んでいる場合ではなかった。魔法使いは変態ばっかだなと再認識している場合じゃなかった。

「あら、こんなふうに写真を撮られるの、はじめてなんだ?びくって、体が止まったわ。嘘じゃないわ。ほら、もう一枚とるから。……そんな顔して、撮られるのスキなのね?学校では隠してた、そのおすまし顔の裏で渦巻いているもの、さらけだしちゃいないさい」

 メイゼルがのぞくカメラのファインダーの中で、ブラウスの下の胸元まで桜色に染めた寒川紀子が、逃げるように体をよじった。逆光に肌を輝かせた彼女の、産毛が金色の羽毛のようだった。

 さすがは長谷、ロリの描写への熱の入れようがとんでもないと喜んでいる場合じゃなかった。
 えぐい。帯の言葉からしてえぐいことこのうえない。確かに娯楽小説だけれど、楽しめておもしろいけれど突き進まざるをえない先がえぐい!

 しかし、漢の決断だ。一巻では魔法使いたちが試された。この巻では仁が試された末に決断して踏み出した。メイゼルのためにすべてを超えて踏み出して、だが堕ちていく姿しか見えない。それでも鬼火の言うとおりに、覚悟を決めたのだ。公館はゆるがない。京香もゆらがない。協会の悪鬼を見る目はうんこを見る目でゆるがない。正しいといえない行動でも行動せざるをえない理由が背後に転がっている。都合のいい解決などなくて、なにかを切り捨てる選択肢しかない。理由と平和な背後を突きつけられて、それでも切り捨てる判断をせざるを得ない世界は確かに地獄だ。地獄と認めたくないのに地獄にふさわしい場に常にたってしまう、地獄であることを象徴してしまう仁に絶望を乗り越えた将来などありえるのか。妹のかけらはなにをあらわしているのか。誰が何となんのために戦うのか?蒔かれまくった種のなるところはどこか、次はいつだ。


 魔法使い同士の戦いの過激さと仁の追い込まれ具合はその戦いが物語のクライマックスですぐ後にエンディングが続くかのようだ。読むのに体力と時間がものすごくかかる。
 しかし今回は、文章をしっかりしようと努力したんだなとなんかわかる文章だな。個人的には、一巻の文章だろうと文句はないが。

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オイレンシュピーゲル 1  著:冲方丁

オイレンシュピーゲル壱  著:冲方丁 角川スニーカー

ラグナロクの系譜、ですね。血生臭くてぐろい系譜と言ってもいいですが。
スプライトと比べるとなによりもレーベルの違いというのがよくわかります。
個人的には富士見くらいのぬるさのほうが好みかな。
(スプライトシュピーゲル1の感想はこちら

あと若干の勘違いをしていた。蛍とスメラギがこっちでメインはってるのかと
思ってたが違うのね。二つはつながってるけれど、そんな密接ではないか。

こちらは3つの短編で構成されていてそれぞれが3人のそれぞれに
焦点を当てている話。後ろのほうになるにつれ靴っぽく血生臭く生臭い。
おもしろくないことはないが、あんまり好みじゃないなぁという思いを
ひっくり返すほどにおもしろいわけじゃなかったな。
こちらは次から様子見かな。密接に絡むようなら買いつづけるが。


読み終わって気づいたけれど、この二つ百合としても読めなくはない。
まあ、読めなくはないと読み終わってから気づいた程度だけれど。
いまいち空気がそんなじゃないし、そういう面を期待するのなら、
むしろお姉さんとショタのほうが脈ありそうだ。

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イチゴ色禁区 2  著:神崎リン

イチゴ色禁区 2 秋の神具の奪い方  著:神崎リン  角川スニーカー文庫

この絵師、たまに顔と胴体のバランスがひどいよね。

スネデレ少女といって売り出してましたが、スネデレというのが
よくわからんというかまた変なこと言い出してるなというかサドデレと
同じようになることを狙ってんだろうなとか思います。が、それはおいとく。

素直にスネデレロリと言わなきゃ駄目だと思う。
スネてデレるのがロリだからありなのであって、少女という表現では不十分だ。
ロリだからツンにくくられそうなことがあってもこれはスネなのだと
大手を振って主張し、スネデレの市民権を叫ぶことができるのではないか?
何を言ってるのかわからなくなってきたからこれ以上深入りはしないけれど。
でもロリという要素が大きいのだと思う。

一巻ではロリがひらひらだったり巫女だったりというのがたいへんによろしいと
関心していただけに今回男装が多かったというのが残念でならない。

ともあれ、話としてはどうにも微妙感が抜けない。
主人公の言動には確かに醒めるものをたまに感じはするが、
不愉快きわまりないというほどではない。
過去とか封印とか、そういうのがはっきりと明かされないのに
一巻もこの巻もやたらにそれに触れるからなんか不愉快なんだろうか。
変にハーレムっぽいというか色をだそうとしてるからだろうか。

読み進める分には特に引っ掛かったりしないんだがなぁ。
でもおもしかったかというと、どうだろう。
一冊通しての物語としては、悪くはないけど、いまひとつ。

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円環少女 4  著:長谷敏司

ロリコン必読のシリーズ四巻目。
しかし話がおもしろすぎるのでぜひロリコンの人以外にも読んでほしいなー。

酒飲みながら読んでいたというもあろうけれど、にやけてしまって悶絶してしまって
読み進めるのにやたらと時間がかかってしまった。
そして小学生だけでなくて高校生もえろいです。

しかしてそんな導入でありながらえぐいというか切ないというかな話が
展開していくのだけれど、妹とハウゼンに関しての話が気になってしょうがない。
そういう書きかたがうまいなぁ、この人。

さらにはエレオノールの今後も気になってしょうがない。
血生臭さでもってではなく残酷でえぐい描写を書くのがほんとにうまいな。

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